「デジタル敗戦国」日本が、自衛隊サイバー防衛隊を設立

「デジタル敗戦国」日本が、自衛隊サイバー防衛隊を設立

2001年に施行されたIT基本法から始まる日本のデジタル戦略ですが、一国民の感覚からすると失敗しているように感じられ、ネットでは「デジタル敗戦国」だと自国を揶揄する声も少なくありません。

そんな日本において、2022年3月17日に自衛隊にサイバー防衛隊が設立されました。総勢540名の精鋭部隊とのことですが、どういった役割を担うことになるのか、気になりますよね。

そこで今回は『「デジタル敗戦国」日本が、自衛隊サイバー防衛隊を設立』と題して、サイバー防衛隊がどんな舞台で、どのようなことを任務で当たるのか、ご紹介していきます。

デジタル敗戦国とは

そもそも、なぜ日本はデジタル「敗戦国」と揶揄されるようになったのでしょうか。直接的な原因は新型コロナウイルスへの対応に関してで、国民からさまざまな不安と不満が噴出したことにより、ネットに書き込まれたことによります。

この言葉を多くの国民が不満を表現するために使用された理由は「新型コロナウイルス対策でデジタルが全く機能しなかったこと」と「提供されたサービスが全く使えなかったこと」の2つです。この2つが大きな要因となり、日本がデジタル敗戦国だと揶揄されるようになったようです。

自衛隊にサイバー防衛隊を設立

2022年3月17日に自衛隊の中にサイバー防衛隊が設立されましたが、なぜ設立され、どのような役割が求められているのか、まとめます。

サイバー防衛隊設立のワケ

サイバー防衛隊は、年々巧妙化するサイバー攻撃に対し、十分な対策をするためにこれまでの「自衛隊指揮通信システム隊」を拡充する形で設立されました。

サイバー防衛隊の役割

サイバー防衛隊は、陸海空の各自衛隊のサイバー防衛機能を一元化することで、24時間体制で防衛省・自衛隊の情報通信ネットワークを監視、サイバー攻撃からの防護を行います。

防衛省・自衛隊へのサイバー攻撃は、ほぼ毎日起きていることから今後は対処能力を向上させるため、アメリカとの共同訓練やサイバー攻撃に関する調査研究なども行う予定とのことです。サイバーセキュリティの専門部隊なだけあって、これまで十分できていなかった対策などができるようになっていくようなので、期待値は高いです。

一方で、540名と言うのは世界各国を見渡すと非常に少数です。例えば、日本が脅威としている中国は、17万5,000人のサイバー戦部隊の中に約3万人の攻撃専門部隊を持ち、北朝鮮も約6,800人のサイバー部隊を抱えています。いくら日本のエンジニアが優秀だとしても、この数の差は心配ですよね。

ウクライナ侵攻はサイバー戦争でもある

2022年4月末時点でも続く、ロシアによるウクライナ侵攻。日本ではあまり報道されていませんが、サイバー戦争だとも言われています。イギリス紙『タイムズ』では、ロシアによるウクライナ侵攻の直前に、中国がウクライナに大規模なサイバー攻撃を仕掛けていたと報じられました。中国のサイバー攻撃は2月20日の北京冬季五輪の閉幕前に始まり、23日にピークに達したあと、ロシアが24日にウクライナに侵攻したと綴られています。中国によるサイバー攻撃では、安全保障や国境警備に関わる当局や財務省、中央銀行、原子力規制当局を含む核関連機関などが被害を受けた、としています。

ちなみに、4月8日にウクライナのゼレンスキー大統領がフィンランドの国会に向けて演説をした際、フィンランドの外務省と国防省のウェブサイトがサイバー攻撃を受けました。攻撃した人物や団体は不明ですが、政府機関が攻撃対象となり、国民生活が危険に脅かされると言う状況が現実的な話となっています。こうした攻撃に対し、日本政府が正常な働きができるように防御するのがサイバー防衛隊の役割にもなります。

まとめ

日本は以前からデジタル後進国だと言われており、ついには敗戦国とまで言われてしまうようになりました。もともと、諸外国に比べると漠然とした不安に対する防御の意識が低いお国柄と言うこともありますが、行政機関が縦割りとなっており、垣根を超えて何か新しいことをしようとすると申請などで非常に無駄な時間を浪費してしまう傾向がありました。

今回のサイバー防衛隊の設立が縦割りばかりになっている状況を打破し、今本当に必要なことを間髪入れずに対応していく、その足がかりになってくれることを期待しています。